やっと過ごしやすい秋となりましたね。待ちに待ったうれし困るの食欲の秋ですよ…とは言うものの、日照不足などで、また野菜が急に高値になったり、お助け魚が高級魚になったりと、まあ、毎日のお買い物にもなかなか気が抜けないじゃありませんか。
ところで、先日の世界中の人々が見守ったチリのあの落盤事故、33名全員無事救出のあのシーン…本当に感動的でした。あんなに長い時間、励まし合って、希望を継いだ人々の心の強さに人間ってすばらしいなと思わずにはいられませんでしたね。でも反面、映画化の話やら、本の印税で1人あたり何億円になるとか、あまりに現実的な金銭がらみのニュース報道に一気に白けた気持ちになってしまいました。
うわー、人間って強かな生き物ですね。やっぱり群がってくるんですよね。全員が無事だったという事がすばらしい由に、盛り上がってしまうのは、なるほど当然でしょうが…。そう言えば誰かが、その後の人生が心配ですね、とコメントしてました。うーん、相当刺激の多い人生になるんでしょうね、お金って恐いんでしょうね。
私は、幸か不幸か、退職金などとも大金とは縁のない人間のうちの1人ですから、だまされたり、盗まれたりのリスクもないかわりに、残りの時間もそうダイナミックな人生を送る事はなさそうです。ささ、年金の心配しなくっちゃ…でございます。
ところで、人生が変わると言う程ではないかもしれませんが、先日、花嫁のメイクリハーサルをした時のことです。心配性らしい新郎が一緒にいらして、新婦のメイクとヘアの仕上がりを見守っていました。ほぼ完成かなという頃に、やおら椅子から立ち上がり、新婦に近づいて、まじまじとその顔をのぞき込むようにみつめ、「いやーびっくりだなあ、変わったよ、すごく良いね、きれいだ。10年もつき合っていたのに、こんな顔を見るのは初めてだね。もっと早く、やってれば、人生変わったんじゃない?」とかなりテンションが高くなっていました。
そうなんですよ。メイクも結構、力ありますからね。思っている以上にね。まあ、人生が変わるきっかけくらいにはなる場合もありますよ、たぶん…。それにしても、10年のおつき合いですか、長かったですね、いろいろご事情もございましたんでしょうね、ご新郎は、私と同年代とお見受けいたしますし、ご新婦は10歳近く年下ということですが、立派な大人のカップルでございますね。
メイクとヘアスタイルで、花嫁の最高の日をサポートするのが、私たちの仕事ですから、こんな風に、素直に喜んでいただけると、とてもうれしい気持ちです。テンションの高い彼の目差しを感じて、新婦は「はい、何だか自分じゃないみたいです」と恥ずかしそうにしていらして、あらら、仲の良さも関係性も、新鮮なままってすごいじゃありませんと私、にやつきそうでした。あ〜、これで、彼女の美しさにほれ直した彼は、ますます、いとおしく、大切にしていくに違いないのです。
そんな風に思わせる彼の目差しと言葉によって、初めは、見慣れない自分の顔に不安げな様子も感じられた新婦でしたが、次第に表情も明るくなって、うれし恥ずかしのいい笑顔になってくれました。
私もつい調子に乗って、「あっ、リリーズですね、双子の元アイドルの、ってえっ?ご存じない?あれ、ご新郎は大丈夫ですよね、そう、ちょっと控えめな感じの品のいい美人タイプです。あっ、かなり例えがわかりにくかったですね、すいません」と古くてややマニアックなところを出してしまい、反省していると、新郎が、「うん、まあ、どうかな、いや本当に何て言うか、セレブっぽいよ、品があってきれいだもん。皆、びっくりするんじゃない、○○さんとか○○ちゃんとか、あと、○○さんなんかさ」「そうですよ、セレブって感じですね。元々の品の良さが出てますよ」「そう、そう、いやー良いよ、このヘアスタイルもすっきりして潔くってねえ」うーん、よくわかってらっしゃる。造形の美しさが元々ありますからね、シンプルにお顔を出すスタイルが一番です。それにしましても愛情あふれる確かな目、私、感服いたしました。そして、ごちそう様でございます。
こうして盛り上がった新郎の力強いお言葉で無事リハーサルは終了いたしました。何と言いましょうか、そう、ほほえましいですね。
素直にきれいだよってうれしそうに言葉にする彼と、恥ずかしそうにほほえむ彼女…こんな大人のカップルって、年を重ねて、おじいちゃん、おばあちゃんになった時も、手をつないで歩いている姿がごく自然で、似合っているんですよね、素敵です。
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さあ、そんな大和撫子と呼びたい女性に、久しぶりにお会いいたしたもので、日頃の雑な立ち振る舞いを反省しなければという気持ちになりました。
いくつになっても、エレガントな女性に憧れるだけで、近づこうという努力をしてこなかった私ですから、今さら、もはや手遅れ感で一杯なんですけどね…そう、姿勢に始まり、装い方、話し方、表情に至るまで、注意点は、それなりに知ってはいるのですが、どうも、せっかちのお調子者が前面に出てきてしまい、エレガンスとは程遠いおばちゃんってところです。あ゛ー無いものねだりですからね、無理をすると体調を崩しそうです…。ここは、あれもこれもと欲張らずに、ポイント絞ってまいりましょうぞ!
以前、お仕事でご一緒したマナー講師の方が、講演で、「最初の挨拶を大切にしましょう。初めまして、○○です、どうぞよろしくお願いいたします。と丁寧に言ってから、背筋を真直ぐにしてゆっくりおじぎをします。姿勢を戻したら、一層、やわらかい笑顔を心がけましょう。」と、これまたエレガントな口調でおっしゃってまして、うーむ、なるほど、これは確かに品があって感じのいい印象を受けるに違いないなと記憶しておりました。はい。しかも、誰でも、私でも、すぐに出来る事はありませんか、まさに、心がけ次第でございましょう。
そうです。まずは、心を落ち着けて、ゆっくりここから始めましょう。ささ、シュミレーションしてみて下さい。何だか、ちょっぴりゆとり感がありますよね。行けそうでしょ。
私のエレガンス入門に同調して下さる方、ぜひこれをワンポイントとして、あなたも心がけてみてはいかがでしょうか?
自然と姿勢もシャキッとして、口角を上げているはずです。
たかが挨拶の仕方ではありますが、これが、自分自身の余裕になって、相手の態度をやわらげる事にもなり得ます。スタートが肝心ですよね。まあ、道は遠く果てしない気もしますが、私の場合…
エレガンスに憧れる後藤のつぶやきでした。
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